【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 両親に愛されたくて、ずっと『良い子』で生きてきた。

 言いつけを真面目に守って、好きでもないオスカーとの政略結婚にも同意して。

 でもその結果、私は何も得られなかった。

 親の愛も、第二王子夫人の地位も、すべて失った。
 
 あるのは虚しさと、ボロボロに傷ついた心だけだ。


「おい、聞いているのか? ビクトリア。ビクトリア!」

 大きな声で名前を呼ばれて、私は我に返った。

 気付けば父親が冷たい目で私を見下ろしている。

「このまま、我が家が一方的に悪者にされるのは我慢ならん。今度、王宮で戦勝記念パーティが開かれる。そこでオスカー殿下に改めて弁明し、婚約者の座を取り戻す」

「戦勝記念パーティ? わざわざ、そんな人の多いところで話さなくても良いのではないですか?」

「お前のせいで、うちはオスカー殿下への謁見が禁止になっているんだ。私だって公衆の面前で恥など晒したくはない。だが、方法が他にないのだから文句を言うな!」


 人前で恥をかいてまで(すが)り付くほど、オスカーとの結婚は大事なものだろうか?
 
 そう思ったけれど、説得するのも面倒で、私はとりあえず黙ったままでいた。