【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 アシュレイ様……ウインクなんて出来たのね!?

 出会った頃は超絶無表情だったひとが、あんなお茶目な仕草をするなんて。

 意外な一面を知るたび、胸が痛いほど高鳴り、愛おしさが募る。
 
 口に運んだビーフシチューは美味しいはずなのに、あまり味が分からなかった。

 お腹は空いているのに胸が一杯で食べた気がしないというか、食事がうまく喉を通らないというか。

 私は食事を手早く片付けてアシュレイの部屋を訪ねた。

 渡したい物って何だろう?
 
 部屋に入ると、アシュレイはソファに座って優雅にワイングラスを傾けていた。

 正面の椅子に座ると、机の上に綺麗にラッピングされた小箱が置かれている。

 これが、彼の言っていた渡したい物かしら?
 
「ビクトリアさんに、贈り物です。こんな展開になるなら指輪の方が良かったな」
 
「何かしら? 開けてみても良いですか?」

「もちろん」

 私は箱のリボンを外して蓋を開ける。

「これって……」

 中にあったのは、見覚えのあるブローチ。魔道具店で私が心惹かれた品だった。
 
 どうせ着けていく場所もないからと一度は購入を諦めたが、改めて見るとやっぱり自分好みだ。サプライズプレゼントに胸が熱くなる。