【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 父を呼びに行くためレイラが退室し、部屋にひとり取り残される。

 私はサイドチェストから手鏡を取り出すと、自分の顔をしげしげと見つめた。

 金色の縦ロール髪に、吊り目がちな青い瞳。
 容姿自体は悪くないと思うけど、キツい印象を与えがちな顔だ。

 
 試しにニヤッと口角を上げてみる。なんだか……すんごく意地悪そう。

「はぁ」とため息をついて、手鏡を枕の横に放り出した。

 この可愛らしくない笑顔が、昔からコンプレックスだった。

 楽しくてニコニコしているだけなのに、他の人には不気味に見えるようで、『なに悪巧みしてるの?』と言われたことがある。

 だからオスカーの前では、極力笑わないようにしていたのに。

 
「まさか『冷めた顔で見下している』と思われていたなんてね。私だって、好きで悪女顔に産まれたワケじゃないわよ」

 
 悪女顔というキーワードで思い出すのは、眠っている時に見た光景だ。

 こことは違う世界に生きる、私と同年代の少女の夢――。

 あれはきっと、ただの夢じゃないと思う。まるで古い思い出のようなもの……。

 そう、たとえば前世の記憶的な……。