【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「アシュレイ様の心の奥底にはジェナさんがいますよね? 私、ジェナさんの代わりにはなれません」

「えっ……ジェナ?……代わり? な、なんですか、その話は!?」

 アシュレイが目を丸くして、まるで初耳だと言わんばかりに素っ頓狂(すっとんきょう)な声をあげた。

 あまりに驚いた顔をするものだから、私まで「え?」と狼狽えてしまう。
 
「だって……アシュレイ様は、ジェナさんに片思いしているんじゃ……」

「してません」

「わっ、私がちょっとジェナさんに似ているから、代わりにしているんじゃ……」

「ないですね」

「ええ……? なんで?」

「それは俺の台詞です。はぁ……こんなバカバカしい誤情報を言ったのは、一体全体どこのどいつですか?」

 正直に「オスカー様です」と白状すると、アシュレイは「でしょうね」と片手で額を押えた。

「――あのクソ王子、どこまでも余計なことを」