【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「体調が悪いと言っていましたが、乗り物酔いではありませんよね? ビクトリアさんは帰りの馬車に乗る前から顔色が良くなかった。学校で何かありましたね」

「え、ええ……」

「オスカー殿下に呼び出されて何か言われましたか?」

 どうして分かったの……!?
 アナタ、もしかしてエスパー!? ……なワケないよね。

 アシュレイの圧倒的洞察力の前では、下手な嘘や誤魔化しは通用しないということか。

 私は観念して大人しく頷いた。


「はい、その通りです。なぜ分かったのですか?」

「会場で俺に話しかけてきた近衛騎士を覚えていますか? 彼の様子があまりにも変だったんです。用があるという割に会話の内容が薄く、時間稼ぎをしているようでした」

 そこから推測するに――とアシュレイが言葉を続ける。
 
「オスカー殿下は近衛騎士に命じて俺をビクトリアさんから引き離し、その間にあなたを別室に呼び出した。そうですよね?」

「ええ、さすがです。やっぱり、アシュレイ様の目は誤魔化せませんかぁ」
 
「具合が悪くなるほど、奴に一体、何を言われたんです? 俺には相談できないことですか?」