【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「ありがとうございます。食事は後で頂きますね。あの、アシュレイ様。お話ししたいことがあるんです。今から宜しいでしょうか?」

「はい、いいですよ。実は俺もビクトリアさんに大切な話があります」

 大切な話……?
 あぁ……家庭教師の契約期限が近いから、延長か終了かの話し合いかしら?

 場所をアシュレイの執務室に移し、私達は向かい合ってソファに腰掛けた。
 
 私が話し出す前に、アシュレイが先んじて口を開く。
 単刀直入に言います――と前置きして、彼が迷いのない口ぶりで尋ねてきた。

「パーティで俺と離れている間、何かありましたね?」

 ギクッと体が強ばった。

 ど、どうしよう……。
 
 オスカーと会っていましたと答えれば、高確率で『どんな話をしたんです?』と聞かれるに決まっている。

 オスカーに復縁を迫られたことはともかく、アシュレイの思い人について聞いてしまいました……とは言いにくい。

 正直に打ち明けるべきか私は悩んだ。
 
「えぇと……何か、あったかしら?」
 
 とりあえず、曖昧なことを言って誤魔化してみる。

 だがアシュレイは追求をやめない。