【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「んぅ……」

 自分の(うめ)き声で目が覚めた。

 視界に映るのは見慣れた自室の天井。

 そういえば私、婚約破棄された直後に倒れたんだった……。
 
「ビクトリアお嬢様! ああ、お目覚めになって良かった」

 ベッドサイドにいた専属メイドのレイラが、ホッと安堵の表情を浮かべる。

 窓の外を見ると、朝日が昇っていた。
 ずいぶん長く眠っていたみたい。
 
「付きっきりで看病してくれたの? ごめんね。ありがとう、レイラ」

「謝るなんて水くさいですよ。とにかく、お嬢様が無事にお目覚めになって安心しました。起きたら呼ぶよう旦那様に言いつけられているのですが、面会はもう少し後にしますか?」

「いいえ、すぐに呼んで大丈夫よ。どうせ怒られるのなら、嫌なことはさっさと済ませたいわ」

「お嬢様……」

 レイラが気遣わしげにこちらを見つめる。

 私はにっこり笑って、もう一度「大丈夫よ」と力強く告げた。