【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「ビクトリアさん、顔色が良くないけど平気?」

「えっ、ビッキー、ぐあい悪いの?」

 顔をあげると、アシュレイとイアンが気遣わしげにこちらを見つめていた。
 

「ちょっと馬車酔いしちゃったみたいです。このあと休んでも良いですか?」

「もちろん、ゆっくり休んで。何かあったら遠慮なく言って下さい」

「お気遣い感謝します。それではここで失礼します」
 
 にっこり笑って私は自室へ駆け込んだ。
 扉を閉めて鍵をかけた瞬間、その場にしゃがみ込む。

 
「あぁ、辛いなぁ」
 
 
 涙のにじむ独り言は、静寂に溶けて跡形もなく消えた。
 

◇◇

 座り込んだまま、一体どれほどの時が経ったのだろう……。
 
 ふいにドアがノックされた。私は慌てて涙を拭い、身支度を調えて扉を開ける。
 
 するとそこには、心配そうに私を見つめるアシュレイがいた。