【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

「そうだよ。アシュレイが守ってくれるから、作戦はぜったい成功するよ!」

 正面に座るイアンが、ニコニコと明るく笑う。
 
 そうだった。作戦はもう始まっている。パーティ会場に着いたら、私たちは幸せオーラを撒き散らさなきゃ。

「アシュレイ様、イアン様、ありがとうございます。――よし! ここまで来て弱気になっちゃ駄目ですよね。私、精一杯頑張りますわ」

「パーティは戦場! 僕もがんばる!」

「二人とも、その意気だ」

 渋滞にはまることもなく、馬車は予定通りの時刻に門をくぐり、学校の正面玄関前に停車した。
 
「では、行こうか」

 馬車から降りたアシュレイは、片手でイアンと手を繋ぎ、もう片方の腕を差し出してくる。私は深呼吸すると、彼の腕に手を添えた。
 
 さすがは貴族御用達の学校。会場は煌びやかに装飾が施され、王都の有名楽団が優雅な音色を奏でている。学校行事とは思えないほどの豪華さだった。

 両開きの扉がスタッフの手によって開け放たれ、私たちは人々の集う会場へ足を踏み入れた。

 やはり美貌の英雄の注目度はすさまじい。
 
 それまで談笑していた貴族たちが、一斉に私達を見た。