【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 周りを見渡していたイアンが「これビッキーに似合いそう」と一着を指さす。

 あまりにも猛プッシュしてくるため、私はイアンおすすめのドレスを持って試着室へ入った。色は深みのある臙脂(えんじ)、胸元と背中を見せる大胆なデザインだ。

 懇親会に着ていくには、ちょっと攻めすぎたデザインかしら……。

 そう思いつつ、カーテンを開けてイアンとアシュレイ、店員の前に出ると。
 
「うわぁ! とってもキレイ! 絶対これがいいよ! 僕、気に入った」

「ええ。本当に、とても良くお似合いです。お美しいですわ」

 イアンと店員が満面の笑みで褒めてくれる。

「綺麗だ……。ビクトリアさん、とてもお似合いです。……が、却下です」
 
「えーなんでぇ」とイアンが抗議する。アシュレイは真顔で「露出が多い」ときっぱり理由を言い放った。

「ですよね。母親役なので、もう少し露出控えめの方が良いですよね」
 
 あまり派手なドレスを着て、他の保護者に『まぁ、下品』と思われたら大変だ。アシュレイの指摘はもっともだと思い、私はもう少し露出が控えめの物を店員に頼んだ。

 その間、私のドレスのデザインを巡ってイアンとアシュレイが激論を交わしていた。
 
「さっきのドレス似合ってたのに! なんでダメなの?」