【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 そんな私が『救国の英雄』の恋人ポジションでパーティに行ったら、かえって変な噂が立ち、イアンとアシュレイに迷惑をかけるんじゃないか……と思ったのだが。

「母上はビッキーがいい」と、イアンは頑として譲らない。

 助けを求めてアシュレイの方を見ると。

「俺も家族になるなら、あなた以外に考えられません」

 やけに大真面目な顔で言い切られてしまった。


「ビッキー」「ビクトリアさん」

 瞳を潤ませた少年と、熱烈な眼差しを向けてくる青年。
 二人から必死に懇願されたら、嫌だなんて言えなかった。

 
「……分かりました! やるからにはこの作戦、成功させますよ!」
 

 アシュレイとイアンが揃って明るい笑顔になる。
 
 
「幸せ家族大作戦、開始です!」
 
 
 私のかけ声を合図に、「おーっ!」という雄叫びが屋敷中に響き渡った。


 パーティに出席するにあたり、私はドレスやら装飾品を買いそろえる必要があった。二度と社交界に出ることはないと思い、家を出る際に売り払うか実家に置いてきてしまったのだ。

 実家にはまだ数着残っているけれど、正直帰りたくない。
 
 痛い出費だけど、イアン様のためだもの。必要経費だわ。

 そう思う私の内心を察したのか、アシュレイがすかさず「安心して下さい、支払いは全て俺が」と言ってきた。