【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 すべて聞き終えたあと、アシュレイは一瞬、怒りと悔しさの滲んだ表情になったものの、すぐに穏やかな顔になってイアンを優しく抱きしめた。
 
 二人は本当に良い家族だなと思う。
 落ち込むことがあっても、抱き合えば自然と笑顔になれる。


 たとえ実の両親が健在でも、折り合いが悪いこともある。私のように。
 
「イアン様、私、思うんです」

 気付けば、私はそう口に出していた。イアンとアシュレイが揃ってこちらを見る。

「たとえ血の繋がりがなくても、親子でなくても、相手のことを思い遣って幸せや悲しみを共有できるのなら、誰が何と言おうとも立派な家族です」
 
 イアン様はひとりじゃないですよ、と付け加えると、少年が感極まったように私に抱きついてきた。私の肩に額をすりすりして甘えてくる。
 
「俺もビクトリアさんのいう通りだと思う。俺たちがついているよ、イアン」

「うん、うん!」

 こくこくと頷くイアン。その小さな頭を撫でていると、ふいに名案が浮かんだ。