【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 私はバッグから使い慣れた変装グッズを取り出す。帽子を目深にかぶり、マスクと眼鏡をしてドライバーに声をかけた。

「すみません、ここで降ります。お釣りは要りません」

 運転手に悪いと思いつつ、多めにお金を置いて車を降りた。
 近くの駅から電車に乗って行こう。


 公共交通機関を使うのなんて、何年ぶりだろう……。

 メイクと服装がドラマ撮影用のままで少々目立っている気がする。どこかで服を調達して着替えなきゃ。

 スマホの地図アプリを開き、私は歩き出した。