【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 興奮した様子で喋るイアンの話を聞きながら、私はほっとした。

 どうやらワンパク怪獣は貴族の令息令嬢にいじめられることなく、好調な学園生活をスタートできたみたい。

 カバンの中には、沢山のプリントが入っていた。二人で一枚一枚取り出しながら内容をチェックする。

 時間割や校内での注意事項が記載された冊子。
 後日開催される、保護者を交えた懇親ダンスパーティのお知らせプリントもあった。
 
「イアン様、ダンスパーティ、いよいよですね」

「うん。舞踏会は戦場! がんばる……勇気だして、キャシーを誘うんだ」

 決意を込めた声音で呟くと、イアンは小さな両手をぎゅっと握り絞めた。

 少年の淡い恋に、自然とほほ笑みが浮かんでしまう。
 キャシーちゃんか。どんなご令嬢なんだろう。

 試しに尋ねてみたところ、さっきまで饒舌(じょうぜつ)だったイアンは急に口を引き結んで、もじもじ。

 そして「キャシーは、とっても可愛い」と呟くや否や「着替えてくる!」と言って走り去ってしまった。どうやら恥ずかしくなっちゃったみたい。
 
 うーん、甘酸っぱ~い。