酷く疲れ切った様子の彼は、私の姿を視界に捉えた瞬間、驚いた様子で目を丸くした。いつもより何倍も無防備な表情だった。
外では騎士団隊長として、家では男爵家当主でありイアンの父親代わりとして常に気を張っているアシュレイ。だけど、思い返せば彼はまだ二十二歳の青年。
私とたったの二歳差にもかかわらず重圧を背負っている彼の役に立ちたい。
「おかえりなさい、アシュレイ様」
精一杯の優しさを込めて声をかけると、アシュレイは酷く安心した様子で肩の力を抜き、ふっと穏やかにほほ笑んだ。
「ただいま。ビクトリア先生」
「遅くまでお仕事、お疲れさまです」
私はアシュレイが外套を脱ぐのを手伝い、手早くコートラックに掛ける。彼は私の行動に戸惑っているようだった。
そりゃそうよね。新妻がするように甲斐甲斐しくお世話されたら誰だって驚くわよね。
でも私はあえて気付かぬふりをした。
今日だけは、アシュレイに何かしてあげたくてたまらない。
「もしかして、帰りを待っていてくれたんですか?」
「え? あぁ、いいえ。ちょうど通りかかっただけですわ。あっ、アシュレイ様、夕飯ちゃんと食べました? お腹、空いてません?」
『待ってました』なんて正直に言ったら押しつけがましいかなと思い、私はとっさに嘘をついてごまかす。
だがお見通しのようで、アシュレイは口元の笑みを深めて「ありがとう」と呟いた。
「飯は要らないですが、少し飲みたい気分です」
「分かりました! 準備しておきますから、アシュレイ様は着替えてきて下さい。いつもどおり――」
「「 リビング集合で! 」」
外では騎士団隊長として、家では男爵家当主でありイアンの父親代わりとして常に気を張っているアシュレイ。だけど、思い返せば彼はまだ二十二歳の青年。
私とたったの二歳差にもかかわらず重圧を背負っている彼の役に立ちたい。
「おかえりなさい、アシュレイ様」
精一杯の優しさを込めて声をかけると、アシュレイは酷く安心した様子で肩の力を抜き、ふっと穏やかにほほ笑んだ。
「ただいま。ビクトリア先生」
「遅くまでお仕事、お疲れさまです」
私はアシュレイが外套を脱ぐのを手伝い、手早くコートラックに掛ける。彼は私の行動に戸惑っているようだった。
そりゃそうよね。新妻がするように甲斐甲斐しくお世話されたら誰だって驚くわよね。
でも私はあえて気付かぬふりをした。
今日だけは、アシュレイに何かしてあげたくてたまらない。
「もしかして、帰りを待っていてくれたんですか?」
「え? あぁ、いいえ。ちょうど通りかかっただけですわ。あっ、アシュレイ様、夕飯ちゃんと食べました? お腹、空いてません?」
『待ってました』なんて正直に言ったら押しつけがましいかなと思い、私はとっさに嘘をついてごまかす。
だがお見通しのようで、アシュレイは口元の笑みを深めて「ありがとう」と呟いた。
「飯は要らないですが、少し飲みたい気分です」
「分かりました! 準備しておきますから、アシュレイ様は着替えてきて下さい。いつもどおり――」
「「 リビング集合で! 」」



