【書籍化】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

 紅茶に口を付けた夫人は「ふぅん、悪くない茶葉ね」と偉そうに言うと、カップを置いて私に向き直った。
 
「やはりメイドではなさそうだけど。単刀直入に聞くわ。あなた、何者? アシュレイとはどういう関係?」

 清々しいほど、どストレートな質問ね。
 私は心の中で苦笑いしながら、夫人の質問に答えた。


「申し遅れました。私、住み込みで家庭教師をしております、ビクトリアと申します」

「そう……家庭教師。やはり、孤児を引き取ったという噂は本当だったのね。あの子の物好きも困ったものだわ」

 はぁとため息をつき、夫人が独り言を呟く。

「あなた……えっと、ビクなんとかさん」

「ビクトリアです」
 
「あぁ、そうそう。ビクトリアさん、家庭教師はもう結構よ。荷物をまとめておきなさい。新しい就職先は見つけてあげるから、その点は心配しなくていいわ」

 一方的に突きつけられた解雇通告に私は眉をひそめる。

「結構とは、一体どういうことでしょうか」

「子供は孤児院へ戻します。だから家庭教師はもう要らないのよ」

 イアンを孤児院へ戻すですって?