「……気持ち悪い」
その言葉に一瞬、頭がフリーズする。
思考が止まった。
……「気持ち悪い」?
私、何か嫌われるようなことしたっけ……?
「……そうですか」
返す言葉を探すも、何を言えばいいかわからずそう告げて、席に座った。
漆黒の髪、その下から除く紅い瞳。整った顔、きれいな体型。
成績は総合1位。もはやできないことなんてないと思うくらいの天才っぷり。
さらに御曹司。
穐中 昏———という、そんなプロフィールを持つこの男の子こそが、私に気持ち悪いといった張本人である。
会うのは初日。そして初対面なのだけど。
彼には出会った瞬間から、嫌われているらしい。
「あっ、ほら華乃さまよ」
「華乃さま?」
「関 華乃さまよ! 知らないの?」
関 華乃、というのは私の名前。