真夏に咲いた奇跡の恋花火

ぎこちなく返事をした後、目を逸らして隣の下駄箱を開ける。


通学手段は違えど、同じ学区住み。登下校中にバッタリ会ったとしてもなんらおかしくない。

だけど、よりによってこのタイミングで鉢合わせたくはなかった……。



「今日は、バス? 車?」

「バス。皆吉さんは自転車だっけ」

「知ってるの?」

「うん。登校中によく見かけるから」



沈黙に耐えきれず話しかけるも、墓穴を掘ってしまった。


高校生になってからほぼ毎朝、私はバスと追い抜き合いっこしながら登校している。ちなみに今朝も一緒に走ってきた。

つまり……。



「暑いのに偉いねぇ。尊敬するよ」

「いやそんな。梅雨の時期はたまに送ってもらってたし」



手を振って謙遜する。


立ち漕ぎで全力疾走する姿を、3ヶ月もの間ずっと見られてたなんて……っ。

……でも、1番見られたくない姿じゃなかったから良かった。