乃木くんは行くかどうかはわからないけど……できれば来ないでほしい。
「家の手伝いがあるから、ちょっと難しいかも」
だからごめんね。
そう、最初は断るつもりだった。
だけど、私が寂しい思いをしないようにと気遣ってくれた友の優しさを、どうしても無下にできなくて。
「でも、短時間なら大丈夫かもしれないから相談してみるね」
*
「失礼しました」
日誌を先生に渡して職員室を後にした。
ドアを開けるやいなや、むわっとしたぬるい空気が肌に触れる。
梅雨が明けてから一気に蒸し暑くなったなぁ。これじゃ家に着く頃には汗だくになりそう。
「あっ」
シャツをパタパタさせながら昇降口へ向かうと、ちょうど靴を履き替えている最中の乃木くんに出くわした。
うっかり出てしまった声が耳に届いていたようで、色素の薄い瞳と視線がぶつかる。
「皆吉さん、お疲れー」
「お疲れ、さま」
「家の手伝いがあるから、ちょっと難しいかも」
だからごめんね。
そう、最初は断るつもりだった。
だけど、私が寂しい思いをしないようにと気遣ってくれた友の優しさを、どうしても無下にできなくて。
「でも、短時間なら大丈夫かもしれないから相談してみるね」
*
「失礼しました」
日誌を先生に渡して職員室を後にした。
ドアを開けるやいなや、むわっとしたぬるい空気が肌に触れる。
梅雨が明けてから一気に蒸し暑くなったなぁ。これじゃ家に着く頃には汗だくになりそう。
「あっ」
シャツをパタパタさせながら昇降口へ向かうと、ちょうど靴を履き替えている最中の乃木くんに出くわした。
うっかり出てしまった声が耳に届いていたようで、色素の薄い瞳と視線がぶつかる。
「皆吉さん、お疲れー」
「お疲れ、さま」



