真夏に咲いた奇跡の恋花火

イケメンにも苦悩があるんだなと思っていたら、突然、ひゅるるるる〜と始まりを告げる音が聞こえた。

ドンッドンッと絶え間なく上がる花火に、会場は大盛りあがり。

好物を食べていた私達でさえも、その鮮やかさに思わず箸が止まってしまうほど。



「綺麗だね。なんか感動しちゃった」

「私も。こうやって観るの小学生ぶりだから、技術の進化にビックリしてる」

「小学生? 毎年観てるんじゃないの?」

「ないよ。お祭りには毎年参加してるけど、この時間はいつもテントの中で作業してたから。観れたとしてもフィナーレがほとんどだった」

「じゃあ、最初からは初めて?」

「うん。なんなら、家族以外の人と観るのも初めて」

「マジ? 俺もだよ。お揃いだね」



クシャッと笑いかけられて、思わず息を呑んだ。


花火の光に照らされた顔が綺麗だったから。
距離が近くてドキッとしたから。

というのも嘘ではないんだけど……。



「乃木くん」

「ん?」

「……また付いてる。紅しょうが」

「ええっ⁉ また⁉」