うつむいていると、再び悪口が飛んできた。



「毎日暑い中自転車走らせて、コツコツ勉強して、お家のお手伝いまでしてる人のどこがたくましくないの」

「っ、でも、運動部の人に比べたら全然だよ」

「全然? 体力テストで毎年上位に食い込んでるのに? 万年体育3の俺に喧嘩売ってるの?」

「ち、違うよ! それより、なんでテストのこと知ってるの?」

「掲示板に張り出されてたから。どの種目で何位だったのかも知ってるよ。あと……」



流暢に述べた彼が花飾りを取り、少し乱れた私の髪の毛につけた。



「皆吉さんは大人っぽくてかっこいい大和撫子だから。自己卑下しなくていいんだよ」



私を見据える揺らぎのない瞳。

短所を長所に変換どころか、美化しすぎだよ。私、そこまで出来た人間じゃないのに。

だけど、こんなふうに力強く励ましてもらったのは久しぶりで……。



「大丈夫。隠してるから。我慢しないで」

「ありがとう……っ」



ここが外だということも忘れて、愛しい彼に抱きしめられながら泣いたのだった。