真夏に咲いた奇跡の恋花火

「なんか盛り上がってたみたいだけど、何話してたの?」

「あ、聞こえてた? 今ね、みんなでお祭りに行こうよって、るみ達と話してたの〜」



英単語帳をめくる手が止まる。

みんなで……?
なんか勝手に、手島くんと乃木くんも一緒に行く話になってるような……。



「ゆまも来る? 人数多いほうが楽しいし」

「いいの? やったぁ! なら、笑万(えま)も一緒に行かない?」



ゆまの視線が私に向いた。



「えっ……どこに?」

「お祭り! 夏休み入ってすぐの日曜なんだけど……」



パンを机に置いて駆け寄ってきたゆま。
盗み聞きしたと思われないよう、確認も兼ねて聞き返す。

日時、場所、催し物。先ほど耳にした情報とピッタリ一致した。



「もし空いてるならどう?」

「あー……」



瞳を輝かせるゆまの後ろから、美男美女軍団の視線が突き刺さる。


ただ見ているだけで、顔をしかめているわけじゃない。けど、内心気まずいだろうな。

だって千葉さんと山谷さんとは、まだ1度も話したことがないから。手島くんでさえ挨拶だけだし。