真夏に咲いた奇跡の恋花火

えっ。

のどから出そうになったのを寸前のところで抑えた。


好きな人……⁉ こないだまでは『誰とも付き合う気はない』って……。



「……そっか」

「本当に、ごめんなさい」



完全に振られたのを確認し、幹に背をつける。


前回見かけた時が先月の中旬だったから、ここ1ヶ月の間でということか。


だよね。乃木くんも私達と同じ高校生。面倒くさがり屋だからって恋愛に興味がないとは限らない。

私が密かに片想いしているように、彼も人知れず誰かを想っていても……。



「返事してくれてありがとう。最後に1つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

「はい。どうぞ」

「その好きな人って、どんな人?」



去ろうとしていた足がピタッと止まる。



「……気になるんですか?」

「そりゃあ、乃木くん、かっこいいし優しいし。校内1のモテ男子だよ? 気になるに決まってるじゃん」