真夏に咲いた奇跡の恋花火

「あ、そうだ。皆吉さんのこと、あまりからかうんじゃないぞ〜」



なんて考えていたら、後ろから注意喚起が飛んできた。

振り向くと、都丸先生がドアからひょっこり顔を出している。


からかうって、もしかしてさっきの……。



「……見られてたみたいだね」



静まり返った渡り廊下に彼の呟く声が響いた。



「さっきは迫ってごめんね。詮索されてないかって、俺も人のこと言えないよな」

「ううん。私こそ、不快な気分にさせちゃってごめんなさい」



お互いに深々と頭を下げ合い、一件落着。
止まっていた足を動かして見回りを再開する。



「あのさ、しつこいかもだけど、何か困ったことがあったら言ってね」



洗い場の状態をチェックしていると、再び優しく気遣う声が聞こえてきた。



「俺で良ければいつでも仲介役になるから! あ、でも全部はいいからね? 男子には言いにくい話もあるだろうし」