真夏に咲いた奇跡の恋花火

喧嘩は収束したものの、千葉さんの瞳はメラメラ燃えている。

イケメンでも、黒髪のマドンナとはあまり相性は良くないみたいだ。



「女神とはいえ、喧嘩っ早い女神と2人きりは心配だな」

「はぁ? 喧嘩っ早いって何よ」

「よし! 見張りとして俺らもお祭りに行くか! な、乃木(のぎ)!」



手島くんの視線が窓側に向いた。
こっそりたどり、机に突っ伏している人物に目を向ける。



「んー……? 呼んだ……?」

「呼んだ! また寝てたの?」

「うん……。お弁当食べたら眠くなって。それよりどうしたの?」

「実はさっき、千葉がな……」



ふわぁぁ〜と大きくあくびをする乃木くんに、手島くんがこれまでの話を簡潔に説明し始めた。


乃木 和彦(かずひこ)くん。

ミルクティーベージュの毛髪と茶色の瞳という、まるでフランス人形のような顔立ちをした男の子。

お昼寝と日なたぼっこが好きで、休み時間によく窓際でくつろいでいる。