真夏に咲いた奇跡の恋花火

聞き慣れない単語に首を傾げる。



「あ、知らない? ハート型の花火で、好きな人と一緒に観ると両想いになれるんだって」

「けっこう有名なの?」

「だと思う。私の親も、これをきっかけに付き合い始めたって言ってたから。まぁ、当時はハートじゃなくてピンク色の花火だったみたいだけど」



初耳の私にもわかりやすい丁寧な説明。
節目の年ということで、当日は両親も観に行くのだそう。


親世代が知っているなら、少なくとも20年以上前から存在していたってことか。

お祭りには毎年参加してるのに全然知らなかった。



「なんかロマンティックだね。前はどんなかんじだったの?」

「それがねー、まだ観たことないからわからないんだ。友達が言うには去年は3発上がったんだって」

「そんなに少ないんだ」

「うん。毎年観てるんだけど、全然見つけられなくてさ。今年こそは絶対見つけたい!」



以前教室で見た時以上に、瞳がメラメラ燃えている。


確かに観に行ったからといって、全部目視できるのは稀だよね。

花火が小さかったり場所が悪いと、建物とかで遮られちゃうし。