真夏に咲いた奇跡の恋花火

「じゃあ、お言葉に甘えて……お願いします」

「任せて! 一緒にとびっきり可愛いの選ぼ!」



今年の運を全て使い果たしてしまった気がした。







20分後、一足先に会計を終えた私達は、売り場から少し離れたソファーに座った。



「千葉さん、ありがとう」



隣に腰かけた彼女に深々と頭を下げる。


千葉さんの熱心で親身なアドバイスのおかげで、無事今日中に買うことができた。


選んだのは、紺色に桜柄の浴衣と深い赤の帯、下駄の3点セット。

柄は小さめだけど、全体に散りばめられていて、控えめながらも上品な印象。

髪飾りも柄に合わせて桜モチーフのものにした。



「千葉さんがいなかったら一生決められなかったと思う。本当にありがとう」

「ふはっ、一生って大げさな! 私はただ似合いそうなのをオススメしただけだよ〜」



いやいや〜と手を振りつつも、口元が緩んでいる。

待ち時間は世間話がほとんどだったけど、買い物中は自分自身の話をしてくれた。