真夏に咲いた奇跡の恋花火

赤や黄色、ピンクといった明るめの色や、黒や紺などの落ち着いた色。

もはや全色展開してるんじゃないかと思うほど、とにかく種類が豊富。


確かにこれは迷うな。一応候補は絞ってきたけど、全部見てたら目移りしちゃいそう。



「ねぇありさ、どっちがいいと思う?」

「わぁ、こりゃまた随分濃い色。んー、紫かな。でもちょっと大人っぽすぎない?」

「やっぱり? もう少し薄い色のほうがいいかなぁ」

「そうだね。ゆまの雰囲気だとこっちのほうが良さそう」



なんて思っていたら、反対側の売り場から相談する声が聞こえてきた。


両手に浴衣を持ち、全身鏡とにらめっこするゆま。
腕に何着も浴衣をかけたまま、ゆまにアドバイスする山谷さん。

事前に候補を決めていた2人も、どうやら難航しているらしい。


視線を手元に戻す。


この数日間、悩みに悩んだ結果、初心者でも挑戦しやすい定番の紺色にした。

しかし、色に気を取られすぎて、柄のことをすっかり忘れていた。