褒めたかと思えば、毒舌で締めくくった千葉さん。

バッサリと言い切られた山谷さんは、「ひっどーい!」と千葉さんの肩を押してそっぽを向いた。


つぶらな瞳と膨らんだ頬がなんだかリスみたい。

可愛い人は怒る姿も可愛いんだなぁ。本気で怒ってるのかはわからないけど。



「るみの意地悪。いじわるみっ」

「ごめん、冗談だよ。りんご飴奢るから許して」

「……」

「もー、わかったよ。特別に大きい綿あめも買ってあげる」

「えっ、本当?」

「うん。今月誕生日だしね」

「やったぁ! ありがとう! るみ大好き!」



ふくれっ面から一瞬にして笑顔へ早変わり。


良かった、仲直りしたみたい。
物で釣ってるところがちょっと気になるけど……千葉さんも笑ってるからいっか。


日誌に視線を戻して続きを書き込む。


4時間目の数学は、テストの解説と因数分解。

授業の様子は、全員赤点なしで、先生と一緒に喜びました……と。



「わー、真っ昼間から天使と悪魔がイチャイチャしてるー」