「さぁ、お待たせしました!いよいよマイタウン・ヒーローショーの始まりです!」


お姉さんのアナウンスでショーが始まった。会場中、みんなの叫ぶ声が鳴り響く。
これにはさすがの俺も興奮抑えきれず、つい声が出ちゃった。

やばい、楽しい、わくわくする。

なぜか敵のくせにやたらキラキラした衣装を着た悪の王子・グラグドエルがステージ上でムチを振り回してる。美羽が言ってた理想のデート服の黒バージョンって感じの奴にみんなでブーイングを送った。

そして次の瞬間、颯爽と現れた。

マイタウン・ヒーローのヒロが。


「ヒローーーーーーーーー!!!」


ワァーとなる会場でおれも一緒に名前を呼んだ。

ヒロは普通の高校生なんだけど、ヒロイン・マユコのピンチには必ず駆けつけ変身してマイタウン・ヒーローになる。


「ヒローーーーーーーーー!!!行けぇーーーーーーー!!!」


そうだ、ここだ!ここがいいんだ!

絶対マユコを最後まで守り抜くところが…!

気付けば腕を高く突き上げて応援していた。それにハッとしてすぐに下ろした。


「碧斗?どうしたの?」

「…別に」


ついつい力が入ってしまった。


「ヒロ戦ってるよ?応援しなくていいの?」

「…ここでわーわー言うのなんか子供じゃんか」


今日はあさひとのデートだった。
こんなとこではしゃいでどうする。
おればっか夢中になってどうするんだ。


「碧斗子供じゃん!」

「子供扱いすんなよ!」


おれはもっと大人になりたいんだ。おれだってサキみたいにあさひを守ってあげられるような奴になりたいんだから。


「…そっか、じゃあ私が応援しようかな」

「え?」

「グラグドエル王子カッコいいーーーーー!!!」

「しかもそっち!?」


全力であさひが叫んだ。周りの目なんか気にせず、思うがままに。
目を丸くして驚いてしまった。

てゆーかやっぱ女はあーゆう格好した奴が好きなのか!?

そっちにも驚いた。


「ほら、いいの?ヒロ負けちゃうよ?」


楽しそうに、笑って。


「ヒロが負けるわけないだろ!こっからなんだから!」


全然回りとか気にしないあさひはカッコいいって思った。

俺も楽しい。やっぱあさひといると楽しい。