ダダダダッと階段を駆け上がった。自分部屋に引きこもるように、バタッと音を立ててドアを閉めた。


「………っ」


最悪だ。
何もかも、オレも最悪だ。

なんで泣きそうになってるんだよ…っ 

そのままベッドに倒れこんだ。
顔を埋めて、電気も点けないままに。

なのにパッと明かりが点いた。


「碧斗、何スネてんの?」

「え、は!?か、勝手に入って来るなよ!」

「え~、私と碧斗の仲じゃんっ♡」


ビックリして起き上がるオレに対し、へらっと笑ったあさひはお構いなしに部屋に入ってきてベッドの上に腰掛けた。
泣きそうになった顔なんか見られたくなくてすぐに視線を逸らした。


「拓海くんって、ちょっと口うるさいとこあるよね?」


今度はにこりと優しく微笑んだ。
それにはついあさひの顔を見てしまった。


「…え?」

「言ってることはわかるんだけど、拓海くんみたいに上手くはこなせないし、でも決めつけられたらそうなのかなって思っちゃうし」

「………。」

「それに緊張して、気遣っちゃうんだよね私。必死に喋りすぎてなかった?」

「…必死に、喋ってた」

「あ、やっぱり!?会話に間ができちゃダメだって思うと喋りすぎちゃうんだよ~!」


頬を両手で押さえて、きゅっと目をつぶっていた。

それはオレが思ってたのと違う反応だった。

そっか、いつもと声のトーンが違ったのは嬉しいんじゃなくて間を繋げるためのあさひなりの気の遣い方だったんだ。


「碧斗には何でも話せるのにね!」


………。

今のは…、ちょっと…、いや結構…

ドンピシャに来た。

そんな笑顔で言われたら…

だって兄貴と話してる時より嬉しそうに笑ったから。

うんって、あさひの瞳を見て頷いた。


「オレとあさひの仲だからな!」


あさひとは10歳離れてても、そんな差何も感じない。

それがオレとあさひだから。

このままでいいんだ。