キーンコーンカーンコーン


「わっ!予鈴鳴っちゃった。遅刻になる前に急ごう…り、里都…。」

真っ赤な顔でボクの名前を呼ぶ。


やばい、破壊力強すぎる。


そのちょっと上目遣い気味なの反則だし…!


「そうだね。急がないとボク達揃って怒られちゃう。あのせんせー怖いからさぁ。」


前を向いて早足で歩き出す。


「里都…!?」

羽菜が驚いた声を上げる。

そりゃそうだ。


だって…急に手繋がれたら誰だって驚くよ。


「羽菜、行こ!」


ちょっと強引すぎたかな。


「えぇ!? う、うん!」


あー恥ずい。

羽菜、めっちゃびっくりしてる。


ボクの手熱くないかな?


でも、こんな顔見られるよりはましだし。


歩きながら空いている片方の手で顔を覆う。


うわ、めっちゃ熱いじゃん。

これ教室着くまでに引くかな。


それでも、ボクは気づきかけてる気持ちに蓋をする。

そして、気持ちを紛らわすために歩くペースを上げた。