その5/確信へ
日下は浅間ユイからの長い手紙を一度目を通して解読した。
彼女がこの”中身”を自分に告げた深意も…。
”確かに信じがたい。だが、身の回りで実際に起こってることを平静に見れば、これはもう完全否定の根拠を得なけりゃ、盲目を自分に押しつけたことになる。参った…”
日下は大きくため息をついて、まずは今目の前にある危機を改めて自分に向けかみ砕いてみた。
...
”逆神ことリカは、要するに、原子爆弾の爆発運動を応用して、それこそその瞬間、瞬間でこの世界の実態を得ている。それは運動エネルギーの消費ってことだ。ヤツがスラリとした長身の若い女の姿でこっちの世界の現存できるのは、絶え間ないその消費の繰り返しだ。車のエンジンと一緒で、常に爆発を停止させないことが要件となる”
”ヤツの実態キープに不可欠なガソリンが、若い女のエネルギーって訳だ。ヤツは現代社会、特に無節操なこの国の都会が深くお気に入りらしい。従って、己の意識実現に適した若い女を潜在意識に取り込み、契約とやらを交わして苦痛を伴わない落命を提供だ。そして、好みのエキスを十分にすすり、大好きなS区本陣坂通りで狩りにご執心ってか…!”
”だが、浮遊体に留まることで満足しなかったヤツは、こっちの世界に実態を得て存在できる時間ももっと長くしたいと望むようになった。今までみたいな、いちいち契約なんぞの同意を取ってたらこの世界に佇むエネルギー消費が追いつかない。この際、なりふり構わずとなるが…、リカは安易にそこへ行かなかった。ここを見逃してはならない”
日下は頭の中で後段を読み上げると、何度も何度も頷いていた。
それはまるで、自分自身に言い聞かせるかのようだった。
そのことこそ、深刻な事態の根幹につながることだと、もはや確信に至っていたから…。
日下は浅間ユイからの長い手紙を一度目を通して解読した。
彼女がこの”中身”を自分に告げた深意も…。
”確かに信じがたい。だが、身の回りで実際に起こってることを平静に見れば、これはもう完全否定の根拠を得なけりゃ、盲目を自分に押しつけたことになる。参った…”
日下は大きくため息をついて、まずは今目の前にある危機を改めて自分に向けかみ砕いてみた。
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”逆神ことリカは、要するに、原子爆弾の爆発運動を応用して、それこそその瞬間、瞬間でこの世界の実態を得ている。それは運動エネルギーの消費ってことだ。ヤツがスラリとした長身の若い女の姿でこっちの世界の現存できるのは、絶え間ないその消費の繰り返しだ。車のエンジンと一緒で、常に爆発を停止させないことが要件となる”
”ヤツの実態キープに不可欠なガソリンが、若い女のエネルギーって訳だ。ヤツは現代社会、特に無節操なこの国の都会が深くお気に入りらしい。従って、己の意識実現に適した若い女を潜在意識に取り込み、契約とやらを交わして苦痛を伴わない落命を提供だ。そして、好みのエキスを十分にすすり、大好きなS区本陣坂通りで狩りにご執心ってか…!”
”だが、浮遊体に留まることで満足しなかったヤツは、こっちの世界に実態を得て存在できる時間ももっと長くしたいと望むようになった。今までみたいな、いちいち契約なんぞの同意を取ってたらこの世界に佇むエネルギー消費が追いつかない。この際、なりふり構わずとなるが…、リカは安易にそこへ行かなかった。ここを見逃してはならない”
日下は頭の中で後段を読み上げると、何度も何度も頷いていた。
それはまるで、自分自身に言い聞かせるかのようだった。
そのことこそ、深刻な事態の根幹につながることだと、もはや確信に至っていたから…。



