「はぁ……っ、はぁ……っ」




間違いだった。

入れば喰われる人食いの森。

その噂は事実だったんだ。




――ヴァォォゥ……――


「ひっ……!」




暗闇に包まれた森の中、くぐもった化け物の声が聞こえる。

魂を揺さぶるような、自然を超越した音。

ここでは常識が通用しないのだと、本能で思い知らされた。


手を伸ばした先も見えるか怪しいくらいの視界でがむしゃらに走って、腕や足に切り傷が増えていく。

鋭い葉、鋭い枝がぶつかってるんだ。