「香満ちました」
國宗さんの挨拶に、ここにいる全員が礼をすると組香席は終わった。
香席が終了すれば、稽古室から出て控え室である和室に案内される。
ここは初めてきた時にも案内してくださったお部屋で、お稽古ではない本当の香席でも使用される部屋らしい。
「お疲れ様。じゃあ、煎茶とお菓子置いていくから好きに食べてゆっくりしていってね」
「ありがとうございました、國宗先生」
「うん。では、失礼いたします」
先生は部屋から退室すると佐山くんは「お茶淹れるね」と座っていたが立ち上がった。彼は急須に茶葉を入れるとお湯を注ぎ入れて二つの湯呑みにお茶を交互に淹れる。



