「で、香花ちゃん、いつ告白するの?」
「告白はしないよ」
「え! どうして!?」
「だって、佐山くん好きな子いるって言ってたし……部活も一緒だから気まずくはなりたくないから」
なんせ、三人しかいない部活だしね。
それに、きっとこれは初めての恋だ。いつ、はじまったのかわからないけど初恋で……だから大切にしたいんだ。
「……そうなんだ。香花ちゃんがそれでいいならわたしは何も言わないよ」
「ありがと」
「そうだ、いま思い出したんだけど……吹奏楽で一緒にパート練習してる男の子がいるんだけどね。その子が香花ちゃんに会いたいって言ってて」
「わたしに?」
「うん。よかったらでいいんだけどね……どう?」
きっと、千咲ちゃんはわたしを元気づけようとしてくれているんだと思ったら胸がジーンとくる。
だけど、さっき佐山くんを好きになったのを自覚したのに失恋したからって次にちがう男の子と会うなんてそんな不誠実なことはできない。



