あれからというものの……私は、朝のことが離れずにいた。
佐山くんには好きな人がいる。それは本人の言葉と表情を見れば事実なんだとわかる。
「……なんでこんなに気になるんだろう」
彼が誰を好きになろうが、私には、関係ない。それは佐山くんの自由だ……そう思うのに、佐山くんの隣に女の子がいてその子に笑顔を見せている姿は見たくないって思う。
「わたし、佐山くんのこと……好きなのかもしれない」
自覚してすぐに失恋って……
「……やぁーっと気づいたの? 香花ちゃん」
「え、千咲ちゃん!? いつから、ここにっ?」
「ずっとよ、話しかけてもボーッとしてるんだもん」
「あはは、ごめん」
わたしは千咲ちゃんに謝ると「そんなのいいんだけど」と言い、言葉を繋げる。



