「……たさん、こうたさん!」 「え……あっ、すみません」 いつもと変わらない日曜日。俺は、稽古(けいこ)の時間なのに上の空だったのかぼーっとしていた。 「煌太、やる気がないならここにはいるな」 「すみません。もう一度お願いします」 だが、その後も香道以外のことも考えてしまってミスが続いてしまった。だが、これがなんなのか分からなかった。 香道の時間が終わり、生徒たちが帰っていくと先生――いや、父さんに話しかけられた。