「星野さん、今日、匂い袋を作ってきたんだ」
「え? 匂い袋?」
佐山くんはカバンから可愛らしい小さな巾着を取り出した。私はそれを受け取ると鼻に近づける。
「なんか、スッキリするような……爽やかな香りがする」
「これは白檀、桂皮、龍脳っていう香りがつよい原材料のなかに梅のお香を入れた香りのする袋だよ」
「へぇ〜なんかすごい、いい匂い」
「バス、長時間乗るし酔いを防ぐのにいいかなと思って」
そうなんだ……確かに匂いを嗅いでいたら酔わないかもしれない。
「佐山くん、ありがとう。わざわざ作ってくれたの?」
「うん」
「ありがとう、佐山くん。大切にするね」



