「ふーん……それに! あの高田先輩も仲がいいよね!」

「うん、転校初日に迷子になってその時助けてもらったの。部活は本当にたまたまだったんだけど」

「そうなんだ。先輩ってめちゃくちゃ人気なんだよ。かっこいいし、成績もいつも一位を取っていて頭脳明晰でスポーツ万能で、一年の時は運動部からオファーされてたんだよ。なのに、文化部で地味な香道部に入った時は落胆させたらしいし」

「そ、そうなんだ」

「うん。で、高田先輩とはどうなの? かっこいい?」


 かっこいいって言われたら、かっこいいと思うけど……そんなふうに考えたことないから分からない。


「まぁ、かっこいいと思うけど」

「でもいいなぁ……あっ、私、部活の打ち合わせあるんだった! ごめん、また!」


 吹奏楽部は忙しそうだと思いながら、空の弁当箱をカバンにしまうと止みそうにない雨を眺めていた。