香道部の佐山くんに初めての恋をしました。




 ***


「……じゃあ、星野さんゆっくり来てね」

「うん」


 放課後(ほうかご)になり、同じ場所に行くはずの佐山くんは私を置いて先に行ってしまった。彼の言う通り、ゆっくり支度をすると教室を出た。

 思い出しながら和室まで向かう。今日はなんとか迷うことはなくて着くことができた。私は和室の一枚めのドアを開けて、スリッパを脱ぐと(たな)に入れて(ふすま)を開けた。


「星野さん、いらっしゃい」

「あ、来た。無事に来れて良かった」


 佐山くんが駆け寄ると、先輩もこちらを見て近づいてきた。