*** 「……じゃあ、星野さんゆっくり来てね」 「うん」 放課後(ほうかご)になり、同じ場所に行くはずの佐山くんは私を置いて先に行ってしまった。彼の言う通り、ゆっくり支度をすると教室を出た。 思い出しながら和室まで向かう。今日はなんとか迷うことはなくて着くことができた。私は和室の一枚めのドアを開けて、スリッパを脱ぐと棚(たな)に入れて襖(ふすま)を開けた。 「星野さん、いらっしゃい」 「あ、来た。無事に来れて良かった」 佐山くんが駆け寄ると、先輩もこちらを見て近づいてきた。