「星野ちゃんが迷子になってて助けたんだよ。たしか転校してきて初めての日」 「そうなんです。本当にお世話になってしまって――」 私はありがとうって言おうと思ったのに、佐山くんに腕(うで)を掴(つか)まれ、グイッと引き寄せられた。 「……佐山くん?」 「星野さん、先輩と近いんじゃないかな」 「あの、佐山くん……佐山くんの方が、近いんですけど……っ」 今の状態は並んで星野さんと話していた時より近い。だって、佐山くんのいい匂いが本当に近くに感じるんだもん。