私は、佐山くんに連れられて香道部が活動している和室へ訪れた。 「あっ、待ってたよ〜」 和室のドアを開けると、朝も案内してくれた先輩がいた。 「えっと、何ちゃんだっけ? そういえば、自己紹介まだだったよね」 「あっ、はい。私、星野香花です。香りに花って書いてカナっていいます」 「へぇ、可愛い名前だね。俺は、高田(たかた)幸信(ゆきのぶ)です。二年だよ」 「高田先輩ですね! よろしくお願いします!」 私は頭を下げると「先輩と星野さんは……知り合いですか?」と後ろから佐山くんが声をかけてきた。