「どうかしたの?」
「あの、佐山くんいい香りがするなって……思いまして」
「……そう? これ、お香の香りが移ってるんだよね」
「お香?」
「うん。俺の父は香道家の家元でね。お香焚いてるからその香りかも」
そうなのか! 家元ってすごい……!
やっぱりすごい人だった!
「すごいね。なんか、なんて言えばいいのかわからないけど、それで佐山くんも香道やってるなんて!」
「ありがとう。そんなふうに言われたのは初めてだよ。いつも、変な匂いするとか言われてるから……」
「え? そんなふうに言う人がいるの!? 私は好きだよ、佐山くんの香り……落ち着く香りだなぁって」
……って、私また恥ずかしいことを言ってる気がする!やばいやばい。気をつけなくちゃ……。
佐山くんはお昼休みもたくさん話をしてくれてとても楽しかった。お昼休みが終わり、午後の授業も真面目に受けるとやっと放課後になった。



