先輩にそう言われて頷くと、そのまま送ってもらった。だけど、そのまま帰ってしまって佐山くんと話があるんじゃなかったっけと少し心配になった。

 だけど先輩と話したことで勇気が出てきた私は佐山くんが来るまで頭の中でイメージトレーニングをしていた。そのせいでブツブツと言っていたようで登校してきた佐山くんに逆に声をかけられてしまう。


「あっ、佐山くんっ……あの、話が」

「え、俺?」

「はいっ! 私、香道部に興味があって。部活の栞に名前があったので」


 そう言うと、先輩と同じように目を丸くしてこちらを見ていた。


「本当に?」

「うん。だから、今日、部活行ってもいいかな?」

「もちろんっそれは、嬉しい」


 そう言って佐山くんは嬉しそうに笑った。喜び方がなんだか尻尾を振っている子犬みたいで可愛い。