翌日、私は佐山くんに話しかけるぞと気合いを入れて学校に向かったんだけど……まさかの迷子。


「なんで、迷子……」


 自分がどこにいるのかもわからなくて、何が何だかわからない。もう、泣きそうになってしまう。


「あれ、また会ったね。また迷子?」

「……はい、その通りです」

「あはは、うん。まぁ、まだ一週間くらいだしね。一年生のとこまで送るよ。クラスはどこなの」

「あっ、一組です」


 というか、教室まで送ってもらうのは悪いんだけどなぁ


「あ、じゃあ佐山と同じクラスだ」

「佐山くんをご存知で……」

「うん。部活が一緒だからね」

「あの、もしかして香道部さん……」


 そう問いかけると、目を丸くして先輩はなぜか驚いていた。


「そう! なんで知ってんの?」

「あ、昨日部活の栞を見ていて……気になって、私っ」

「え!? 本当に?」


 なぜか興奮したように先輩は言うと「めっちゃ嬉しい!」と私の手をにぎってブンブン上下に振った。


「えっ、あの……っ」

「あぁ……ごめん。すごく嬉しくて。でも体験入部期間は終わってるよね」

「私、転校してきたところだから一ヶ月伸ばしてもらえて……だからです」

「そうか。じゃあ、放課後、佐山と来てよ。職員室の近くにある和室でやってるから」