「嫌いっていうのは、あなたの本当の気持ち?」
「……ちがう」
「もし、嫌いとか馬鹿って自分が言われたら、どう思う?」
「かなしい」
「そうよね。悲しませることを言っちゃったとき、どうするんだっけ?」
少年がうつむきがちに「ごめんなさい」と言った。少女が「うん、いいよ」と呟く。二人は目を合わせると、少しギャクシャクしつつも、お互いにはにかんだ。
私は、ほっとしながら優しくさとす。
「喧嘩してもいいわ。でも自分が悪いときには、ごめんなさいを忘れずにね。あと『大嫌い』って言うより、『大好き』を伝える方が、きっとみんな幸せになれると思うわ」
少年少女は素直にこくりと頷いた。
「さぁ、シスターがクッキーを持って来たみたい。二人で食べてらっしゃい!」
二人はおずおずと手をつなぐと、笑い合って走って行った。
あの子たちは、いつも言い争いをしている。けれどそれは仲が悪いからではなく、お互いを意識しているからだ。
重たい洗濯かごを、よいっしょ!と持ち上げて、私は『初恋かぁ、甘酸っぱいなぁ』なんて考えていた。
「良い言葉だな」
穏やかな声が聞こえた瞬間、腕の中からひょいとカゴを奪われた。
「……ちがう」
「もし、嫌いとか馬鹿って自分が言われたら、どう思う?」
「かなしい」
「そうよね。悲しませることを言っちゃったとき、どうするんだっけ?」
少年がうつむきがちに「ごめんなさい」と言った。少女が「うん、いいよ」と呟く。二人は目を合わせると、少しギャクシャクしつつも、お互いにはにかんだ。
私は、ほっとしながら優しくさとす。
「喧嘩してもいいわ。でも自分が悪いときには、ごめんなさいを忘れずにね。あと『大嫌い』って言うより、『大好き』を伝える方が、きっとみんな幸せになれると思うわ」
少年少女は素直にこくりと頷いた。
「さぁ、シスターがクッキーを持って来たみたい。二人で食べてらっしゃい!」
二人はおずおずと手をつなぐと、笑い合って走って行った。
あの子たちは、いつも言い争いをしている。けれどそれは仲が悪いからではなく、お互いを意識しているからだ。
重たい洗濯かごを、よいっしょ!と持ち上げて、私は『初恋かぁ、甘酸っぱいなぁ』なんて考えていた。
「良い言葉だな」
穏やかな声が聞こえた瞬間、腕の中からひょいとカゴを奪われた。



