前世でも、今世でも、私はずっと色々なことを我慢して生きてきた。

 気付けば立ち向かうことより、諦めることばかり上手になっていたみたい。


(私は変わりたい。アデルみたいな、強くて前向きで、未来を切り開いていけるような女の子になりたい――!)
 

 私は両親に向かって「しばらく休むことにします」と告げた。

 二人は安心したように頷き、それが良いと同意してくれる。


「お父さん、お母さん、ありがとう」

 
 この日から、私たちは本当の家族になった。

 
 
◇ 
 
 ソニアの情報によると、公務のない週末には、シリウスが教会を訪れるらしい。

 私は彼に会うため、教会の聖堂に向かった。

 重たい木の扉を開けると、目の前に荘厳な光景が広がる。
 
 純白の壁、フレスコ画が描かれた高い天井。ステンドグラスから差し込む七色の光が、室内を美しく彩る。

 祭壇にほど近い最前列の右側のベンチに、男性が一人座っている。