考えぬいた結果、私はアデルとともに共和国へ行くことにした。

 ミーティアを許したわけじゃない。
 恨みに思う気持ちもある。

 だけど、復讐なんて愚かな真似はしない。
 
 醜い感情のまま時間を費やしたって、虚しくなるだけだ。

 それなら私は、賢い選択をする。

 共和国で職を探し、自立した生活をして、余暇は大切な親友とたくさん遊んで、思い出を作って……私自身の幸せをつかみとってみせる。
 
 
 後日、一緒に行きたいと伝えると、アデルはベッドの上でぴょんぴょん跳びはねて喜び、シレーネ夫妻は歓迎してくれた。出発までの間、私は両親と妹に内緒で、着々と準備を進めた。

 相談したところで、世間体が悪いといって、反対されるに決まっている。私の門出を喜んでくれない家族に話す必要はない。

 
 出立が目前に迫っていた、あの日――。

 私はあっという間に『犯罪者』に仕立て上げられ追放された。

 
 幸せになる道は、完全に閉ざされた――。