部屋に駆け込んだ私は、化粧台につっぷした。

(結局みんな、私の力だけを愛していたのね)
 
 
 切なさと悲しみが込み上げてきて、じわじわっと涙がにじむ。
 
 
 正直、悔しくて腹立たしくて、憎らしかった。
 

 ――そもそも、昔からミーティアは我が儘だったのよ。

 
 他人の持ち物を欲しいとねだって、泣いて駄々をこねて。可哀想だから仕方なくあげると、すぐに興味をなくして、また別の物を欲しがる。

 お気に入りのドレス、装飾品、本、ぬいぐるみ……これまで散々、大切な物を取られてきた。

 
 ――許せない。……復讐してやる。
 
 
 残酷な考えが次々と浮かぶ。
 
 想像の世界で、私は何度もミーティアを殺した。それでも憎しみは尽きることなく、むしろ頭の中の復讐劇はどんどん悲惨さを増してゆく。

 憎悪が最高潮に達したとき、ふと鏡に映った自分の顔を見てぎょっとした。

 
 私は(わら)っていた。
 
 ひどく(みにく)い顔は、あの夜、私から異能を奪ったミーティアにそっくりだった。
 
 
 他人を恨んで傷つけたら、妹と同類になってしまう。
 それだけは、絶対に嫌だった。
 
(復讐したら、あの子の思うつぼ。駄目よ、冷静になるのよ、私。…………そうだ!)

 
 放り出されていた贈り物のネックレスをひっつかんで、私は椅子から立ち上がった。